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1966年02月 | ARCHIVE-SELECT | 1966年04月

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我ら学園

東京から 学園に帰って 

人々の聖く神々しい

その様に 

学園の神殿の きよらかさに 

私は驚いた


翌朝のお祈りの時 

泣いてしまった 


学園はいい 

人々がいい 

神々の園だ

日本のメッカだ


1966.03.28.
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| 1966年 | 09:22 | TOP↑

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いのちの滝

いのちの滝が流れおちていた

大平原をはるか横切ったところ

インディアンたちが住む

秘密の場所に―――

私は

ある雑木林の間をつき抜けて

木のまばらに生えている地点にまで

たどりついた


木の根方に腰をおろしたとき

どこからだろう

かすかな 笛の音が聞こえて来た

それは木立のはずれ

はるかな前方の

広くて 果てしも知らぬ平原

―――草一本はえていない半砂漠地帯の

端の方からだった


その笛の音は

私の魂にしみこんで

和して 歩み出す

瞑想的な 木の根方の静かさは

急に霊的になって

次元がかわったように 思われた


笛の音はいよいよ近づき

そして ピタリと止まった

ふと 私の前に

二人の男

日本人二世ともう一人は

西洋人だ


ツバの広い帽子をかぶり

自信にみちた

たくましい中年の男たちだ

そこへ

みるからに枯れ切った

動じない人格をもつインディアンの老人と

酋長の娘ともおぼしきインディアン娘が

馬にのって あらわれた

娘は 不思議な威厳と美しさに

一分のすきもみせない


私がここ 木立のはずれ

ひらかれた平原の入口に

たたずんだのを知って

迎えに 来たのだという

( 私たちのすむところ 

いのちの滝に行こう! )

命令的な 霊力のある言葉で

その娘がいった


その原野を馬で

一マイルばかり行ったろう―――

私は神秘で創られた別の世界

いよいよ次元のちがう

彼らの秘密の場所に誘導され

たのだった


大平原のどまん中

かくされた場所

そこは薄い霞がかかって

太陽の光がはっきり照らない

光の蔭の地点とでも言おうか

……誰もが行けない

知られぬ場所であったのである

そこに展開したのは


彼らの歩みにしたがって

そこの光景は奥行きをまして

はっきりしてきた

するとその時 四人は

立ちどまった

いや彼らが 立ち止ったかどうか

わからない

私は突然 目のあたり

とはいえ はるか彼方に落ちる

いのちの滝を

見たのである


巾百米(メートル)以上もあるのか

はかり知れぬ 高い高い天から

その滝は落ちてきているのだ

水しぶきを上げてそれは

落ちているのだ


それはまさしく

我々の生命の源

霊の流れが

天と地をつないでいるのだ

インディアンたちはこの霊の

天と地つなぐこの神秘の

大平原で住んでいたのだ

ところが 白人たちにおいやられて

やっとここ一カ所だけ

のこったのだ


しかも そこが 彼等にとって

天にゆく通路となっていたのだ

彼等のつくった文化圏は

どんなんだったのだろうか

それがあとになってわかった


私の前に

二人の中年のこの男たちが

ふいに現れて言ったことには

一人の日本人二世は科学者であり

一人は哲学者で詩人であった

彼等は心のやすらぎと

永遠なるものを求めて

このインディアンたちの生活に

加わったのだといった


……その満足しきった彼等の態度は

普通人ではもはやなかった

我々一行は案の定その

「いのちの滝」の中に入り

消えてしまった

滝の源 滝そのものに消えて

しまったのである


むろん その時には

いのちの滝も

大平原も消えてしまった


彼等は昔から

この地において

消えた人

消える人の如く

生活していたのである
            
1966.03.14.

| 1966年 | 22:41 | TOP↑

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風はやんだ

今日はランプがとても明るく

輝いている

静かだ 心の中のようだ

山の無言(しじま)に

ないていた うぐいす

朝から 晩まで ほとんど

半年以上も

山の平和を愛して

なき楽しんでいた うぐいす


仕事の手をやすめては

或いは朝のとばりが

開け始めた頃

遠く近く ほんの手許で

なき さえずってくれていた

うぐいす


里の人はそれを知って

この山の平和をみだしてしまった

春が来たが 

群れなすうぐいすの声が

ハタとやんでしまった


里の人が楽しむために

一つだけ 二つだけと 

取りにきて

すっかり うぐいすを

取りつくして しまったのだ


―――人の人生も これと同じだ

楽しいもの 歌を 美を

よろこびを

天から この肉体に与えられて

生れた そのよろこびを

すべて

食いつくし 味わいつくしたら

もう二度と 人間として

生れて来ずに

種のつきはてた鳥のように

つきはててしまうのでは

なかろうか


美は 美として

ほどほどにながめ

ほどほどに 楽しむ

これが 美を ながく

より以上に

育ててゆくのでは

なかろうか


何もかも 喰いつくさずにはおかぬ

人間のどん欲が

感覚 感情 理知の美を

毒してしまうのだ


毒された意識だけが のこり

人は死滅してしまう


汝が 人よ!

汝等は 死につつある

美から 離れつつある


美は 味は

喰いつくしては ならない

美は そっとしておくもの

ソフトに 眺めるもの

聞くもの

その歌声を きくものである


その時

人は よりよき者へと

更に 生きとおす

1966.03.01.

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