FC2ブログ

1989年09月 | ARCHIVE-SELECT | 1989年11月

| PAGE-SELECT |

≫ EDIT

久しぶりに詩がかけた

久しぶりに 詩がかけそうだ

今まで ここ1,2年間

少しも詩が書けなかった

それは思うに

「神話」を おいはじめてだ

「神話」ほど むつかしいものはない



「神話」をさがして 「神話」をさがして

その壁のあつさを 感じていた 


私の前に その入口が見えて

くれなかったのだ

ただ その足がかりとなったのは

「オン松とメン松」の話と

三才の光司がいった「僕は

ワニの眼の中から 生まれた」

この二つが 唯一の手がかりだった


しかし これだけで

あの広大な 神秘一杯の

「神話」の中には

はいれなかった


足場 手がかりはあっても

それを実現することが できなかった


本物 本物 本物の世界を

実現できなかったのである
 

詩は だから書けなかった

詩を二つ三つ 書いたが

それらは 満足のいくものではなく

すべては ぼつにしてしまっていた


ところが 今その「神話」の世界に

入ることが出来ている


それは

昨朝 食事の時

光司に

お兄ちゃんは服を着たかと

尋ねた

もう起きたか という意味である


すると

光司は 私に答えた

「もう 服の中に入っている」と


この答に私は びっくりしてしまった

普通なら

「服を着た」と答えるところを

「服の中へ入った」というのである


日本語を十分知らない光司で

あっても

服を着た という日本語ぐらいは

十分知っている


ところが

「服の中に入った」というその答は

まさしく 普通ではない


我々は 服を着るとか

服を着た とかいう事になると

「服を着ました」という言葉と

なって現れる


ところが それは

自己中心の考えであって

私が服を着た とか

服をつけた という事になる

こんな世界ばかりの中に

自分が生きている

自分たちが 生きて来ているのだ


ところが

光司は 自己中心の中にいないのだ

「服」が主体で 人間が客体である

それで 「服の中に入った」というのいう人間を

そこに見ているのである


それは 自己を中心にしていないからである

大人は いや我々はどれだけ

すべての中で

自己中心に生きているか……という事が

ここで 初めて分らされた


自己中心で 犬を見

自己中心で 樹を見

自己中心で 宇宙の事物を

見て来ているのである


それでは 「神話」の世界に

入ることは

絶対できないのである


光司を見ていると

彼は 10才のおわりが来ようとして

いるのだが

やんちゃで 勢のある子で

大人も 手をやくこともある程の

子である


そして 勉強 勉強と大人が

彼をおいまくっている

だが彼を少しも 知らなかった

のである


大人中心思想

大人の 自己中心思想で

彼を見 彼を自分たち人間と

同じ人間だと

思って つき合って来たのである


ところが 彼は我々人間からして

みると

トマトのような 人間かも知れない

のである

トマトとは 例えであるが 

全然ちがう人間 という意味である


我々が彼を 我々流に考え

我々流の人間 と思いこんで

きたのである


ところが 全然ちがう人間だった

のである

トマトと 人間程ちがうちがいが

あったのである


我々は 自己中心に生き

考えている存在物である

だから この光司は

光司一人ではない


おさない子供は 光司のように

自己中心に生きていない人なの

であろう


それを大人は がむしゃらに

大人人間の中に 彼らを

入れこもうとしている

そのあやまちが ここにはっきり

してきた


私は 昨日からこの光司のいった

言葉を心の中で

つぶやいては

ここに 何かの秘伝があると

考えつづけていた


そして今夕それが

明らかになった

私は 自己中心に考えている

自己を

ひっくりかえしてみた


すると もうろうとした世界の中に

本物の世界の中に

すぐ入ってしまった


「神話」の世界であろう

それがまだはっきり

そうは思えてこないが

私は今 とびはねたい程の

しょうどうに

かられている


身も心も

浮き雲の中を さまよっているようだ

今のそれは

今までの私の すばらしい発見の

それよりも

優れているものだ 


どうやら私は

「神話」という難解な門の中へ

その門を くぐりぬけた感じがする


やっと 詩が書けた

本物が又しても 私と一緒に

なってくれたのだ


「神話」がどうやら実現でき

そうだ


リアルな世界から 

アンリアルな世界へ

ずぼっと 入っている

リンゴが樹から 落ちたのでなく

樹がリンゴを はなしたのである


1989.10.22.
スポンサーサイト

| 1989年 | 10:52 | TOP↑

| PAGE-SELECT |