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梨のかおりが

梨の香りがして来る 
ご神殿に供えた梨から
この梨は昨日 新潟から送られて来たものだ
彼は給料が安いのにわざわざ買って 
遠い所から送ってくれた
その真心の厚いその香りであろう

神前に 火がともされ香がたかれた
寒い冬の夜
まだ氷もはってないが ストーブを入れ始めたばかりだ
新潟はもっと寒いだろう

聖者のような天使のような 奥村さんの
あの細眼で笑う あの顔と心が伝わって来る
彼こそ 天の一粒種だ
生きたものでない 生きたものを越えた死んだものだ

草一つも抜くことが 彼には出来ないのだ
私が「草を引いてくれ」と言ったら
「私は草を引かないことにしてあるのですが……」と答えた

彼こそ 天と地を繋ぐ者だ
細い眼をした 奥村さんの遠い所からの贈り物 
梨は生々と 神前に並んでいる

彼の幸福をただただ祈る

1972.11.21.
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| 1972年 | 20:04 | TOP↑

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