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階級制度

(カルカッタのラーマクリシュナミッション本部にて)

自室にかえり あまり暑いので
石の床にバケツ一杯の水をぶちまけ
ゴロリとベッドに横になる

上向けになってお腹にタオルをのせて
英語の勉強にとりかかった

次に気が付いた時ははや三時になっていた
一頁も読まないうちに三時間ほどぐっすり
いい調子で寝てしまった

三時というと ここでは人一人道を歩いていない
昼寝の時間の真最中なのだ

三時四十五分 茶の時間がつげられた
食堂にいって 一人で茶を二杯飲んだ

チーズのおかきをつまみながら
外の池の淵で 草を刈っている下層階級の人を見る
彼は 私が昼寝をする前から草を刈っていた
今思えば私の寝ている間 彼は黙々と強い太陽のもとで
今まで草を刈っていたのだ

インドでは階級の差がきつい
食堂のボーイは 彼らよりまだ二つ程階級が上のようだ

茶を終えて 彼の近くに見にいったら彼は
草を刈っているのでお腹がへった……という手真似をする

私はかわいそうになって 食堂の係りの男に
チーズのおかきをもっとくれと言った

おおビスケットと答えて 彼は缶のふたを取った
私は手をつっこんで ひとにぎりのチーズの
おかきをとり出した

その男に気付かれないように
草を刈っているサーバントの側に行った
男はそのビスケットを私の手から受け取って 食べ始めたのだ

ヴィヴェーカーナンダよ!
なぜまだこんなかわいそうな階級の
こんなみじめな人々がおるのか

彼等は学校へ行っておるのだろうか
おそらく学校へ行ったら 自らその階級制度を
切り開くであろうに――

いや どこへいっても彼等には
光に影がついてまわるように
階級が死ぬまでついて 彼等を人間的な
人並みの位置まであげないのだ

去れ!
消えうせろ! この悪夢!

1964.04.11.
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