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失われた朝

朝が来た
鳥たちがきれいな鳴き声で歌う
人は 鳥たちも夜の明けるのに気づいて
歌っているのだと思っている

しかし鳥は 明るくなったから歌い始めるのでなく
太陽 月 地球のそれぞれの天体の動き 角度を察知して
歌い始めるのである

これは眼の見えない三宮麻由子さんが
20才になった時わかったことである

彼女もまた鋭敏な繊細な感性でそれが 天体の動きが感じられる
そしてさらにその神経は 人間の汚れた波動をも
感知してしまう

暗くて静かな状態から――5時
朝になるとザワザワ……してくる――
人間の汚れた波動が 
まだ地上に入って来ていないところに
だんだんと人間の意識波動が その空気の中に入ってくる
それで朝が来たことが分かるという

朝というものは
いつからこんなに汚れてしまったのか
朝とは暗闇が去り 光あふれ
希望に満ちる歓喜の時間ではなかったのか

人間は言語をつくった
その言語を使うことにより人々は
宇宙的響きを失ったのである
そこから人間の意識は汚れ始めた

言語をつくると「あちら」と「こちら」
「わたし」と「あなた」という相対的な言語がつくられてくる
そして人々は 相対の世界に落ち込んでしまい
「私のもの」という所有観念がおきてきた 
そこから損得の意識が生まれ
自己中心的な心が展開し始めたのである

大自然と連鎖し 躍動していた自己は失われた
相対の世界に落ち込んでから 
宇宙的な響を失い 魂の翼を失ってしまったのである

小鳥でも天体の動きの躍動を 全身で感じて歌い始めるのに
今の人間は 原始の自然の意志を感じなくなった人間集団
天体の透明な開きの角度など 全然感じなくなった人間集団に
なり切っているのである

太古の人々は全身で見 全身で聴く力をもっていた 
彼等はその感受性で宇宙と対話をしていた
そのような中で言語がつくられていった
しかしその言語というものの危険性に
気づいた人々がいたのである

彼らは それを人々に
警告しておかねばならないと思い立ち
人間の心がきれいな内に 多くの人々から詩を集め
その霊感の宇宙的響きを
未来の人々に伝える為に編纂されたのが
リグヴェーダだったのである

これはいわゆる未来の人々の為の警告書なのである

2000.05.24.
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